痴漢の認知件数は現実と大きな乖離がある

警察庁の報告書によると、「平成28年中の痴漢(迷惑防止条例違反)発生件数は約1800件」とのことですが、みなさんはどのように感じられますか?これでは東京という大都会で1日にたった5件程度しか痴漢行為が発生していないことになります。

警察庁は2010年から2014年にかけての「痴漢事犯の検挙状況等の推移」を発表しています。「迷惑防止条例違反のうち痴漢行為の検挙件数(電車内以外を含む)」「電車内における強制わいせつの認知件数」の合計がもっとも多かった年で4250件。これによると全国でこの年に発生した痴漢の数は1日平均で約12件、都道府県ごとにひとりもいない計算です。

こうして数字に表れる痴漢行為が氷山の一角にすぎないことは、いうまでもないでしよう。被害に遭った女性全員か警察に届け出て、犯人が検挙、認知されれば、その数はおびただしいものとなるはすです。2010年に警察庁が、東京・名古屋・大阪に居住し、通勤・通学のため電車を利用している16歳以上の女性2221人を対象に調査したところ、「過去1年間に電車内で痴漢被害に遭った」と回答した女性は304人にのぼりました。これは全体の13.7%に当たります。そのうち「痴漢被害に遭っても警察に通報・相談していない」と回答したのは271人。被害女性の9割近くが泣き寝入りをしたというのです。

東京・名古屋・大阪といった大都市における通勤、通学時のラッシュはすさまじいものかあります。痴漢としては人混みに紛れることかできる好機が毎朝訪れるようなものです。

では混雑していない電車では痴漢が発生しないのでしようか?そんなことは決してありません。車内が過剰に混雑していると逃げ道を確保できないという理由で、満員電車を避ける痴漢もいます。

また、ひとりの痴漢か生み出す被害者はひとりではありません。なかにはターゲットを特定の女性に絞って犯行をくり返す痴漢もいますが、その都度、違う女性に痴漢行為をする者のほうか圧倒的に多いのです。

アメリカの研究者・エイブルは、ひとりの性犯罪者が生涯に約380人の被害者を出すという調査結果を発表しています。これは強姦や強姦殺人なども含めた数字ですが、痴漢のなかには毎日のように違う女性に加害する者もいるので、人数だけでいうと数年で簡単に上回るでしょう。

逮捕までのあいだに、本人ですら数えきれないほどの回数を重ねている痴漢たち。それを考えても「日本全国で1日平均12人ほどの女性が被害に遭っている」は現実からひどくかけ離れた数字だとわかります。

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